教育と子どもの指標をめぐる
教育費、不就学、就学率、児童生徒対教員比の5指標について、世界銀行WDIの各国報告値をもとに1指標ずつ順に表示します。各コマには順位の棒グラフ、日本の値と順位、推移の折れ線が並びます。指標ごとに対象国数と観測年が異なります。
| 教育費(対GDP比) | 136 | 日本の教育費(対GDP比)は3.3366%で203か国中136位 |
| 小学校に通えていない子の割合 | 5 | 小学校に通えていない子の割合は日本0.0684%で205か国中5位 |
| 高等教育就学率 | 60 | 高等教育就学率は日本64.4908%で203か国中60位 |
| 中等教育就学率 | 57 | 中等教育就学率は日本101.5371%で208か国中57位 |
| 児童生徒対教員比 | 74 | 児童生徒対教員比は日本15.661人で206か国中74位 |
各コマは単位も対象国数も別々なので、コマをまたいで数値や順位をそのまま比べないでください。同じコマの中で、日本の値が上位・下位のどちら寄りにあるかを見ると位置がつかめます。
要点
教育と子どもをめぐる指標で、日本は「結果」と「公的な投入」で対照的な位置に立っています。小学校に通えていない子の割合は0.0684%で、205か国中5位という低さです。一方、政府の教育費(対GDP比)は3.3366%で203か国中136位にとどまり、世界値3.5693%を下回っています。中等教育就学率101.5371%(208か国中57位)、高等教育就学率64.4908%(203か国中60位)はいずれも世界値(77.2786%、43.6151%)を上回るものの、順位としては中位という中間的な立ち位置です。
(出典: 世界銀行 World Development Indicators — Government expenditure on education, total (% of GDP) / Children out of school (% of primary school age) / School enrollment, secondary, tertiary (% gross))
中心指標の最新値
先頭の指標である教育費(対GDP比)を見ると、日本の最新値は3.3366%、対象203か国中136位です。世界値は3.5693%なので、日本はこれを約0.23ポイント下回っています。203か国のうち136位という順位は、全体の3分の2より下に位置します。ただしこの指標が対象とするのは政府(公的)部門の支出だけで、家計が負担する分は含まれない点に注意が必要です。
(出典: 世界銀行 World Development Indicators — Government expenditure on education, total (% of GDP))
上位と下位の顔ぶれ
教育費(対GDP比)の上位は、キリバス16.3905%、米領サモア14.7170%、ツバル12.8457%、ミクロネシア連邦11.5591%と、経済規模の小さい島嶼国が並ぶ傾向があります。ナミビア9.0844%、アルジェリア8.9777%がこれに続きます。下位はソマリア0.0000%、ナイジェリア0.3191%、ジンバブエ0.3848%、パプアニューギニア0.7821%、ハイチ0.9646%です。日本の3.3366%(136位)は、上位よりも下位寄りの中位以下という位置になります。
同じ日本でも、指標が変わると立ち位置は逆転します。小学校に通えていない子の割合では、アラブ首長国連邦0.0039%、アゼルバイジャン0.0266%、ウルグアイ0.0355%、韓国0.0557%に次いで日本は0.0684%の5位。下位はソマリア85.2728%、アフガニスタン68.7716%、赤道ギニア65.5965%です。
(出典: 世界銀行 World Development Indicators — Government expenditure on education, total (% of GDP) / Children out of school (% of primary school age))
この10年でどう変わったか
教育費(対GDP比)は2010年の3.5995%から下がり続け、2018年に3.0778%まで低下しました。その後は2020年3.3063%、2021年3.3366%と持ち直していますが、2010年の水準には戻っていません。中等教育就学率は2013年101.0494%から2023年101.5371%とほぼ横ばいです。高等教育就学率は2013年62.6423%から2021年62.0412%へわずかに下がったあと、2022年63.3752%、2023年64.4908%へ上がりました。小学校に通えていない子の割合は2014年0.0842%から2023年0.0684%へわずかに低下しています(2013年の値1.1430%は翌年と大きく開きがあり、統計上の断層の可能性があるため比較には用いません)。児童生徒対教員比は2013年16.7319人から2017年15.6610人までの5年分しか推移データがなく、10年の変化としては扱えません。
(出典: 世界銀行 World Development Indicators — Government expenditure on education, total (% of GDP) / School enrollment, secondary, tertiary (% gross) / Children out of school (% of primary school age) / Pupil-teacher ratio, primary)
近い国とくらべる
主要7か国で教育費(対GDP比)を並べると、英国5.9068%(32位)、アメリカ5.4204%(43位)、韓国5.4091%(44位)、フランス5.3243%(47位)、ドイツ5.2392%(54位)、中国3.8971%(112位)に対し、日本は3.3366%(136位)で最も低い値です。英国との差は2.5702ポイントあります。
高等教育就学率でも日本64.4908%は7か国で最も低く、韓国111.8533%とは47.3625ポイントの開きがあります。英国80.4146%、アメリカ79.3619%、中国76.8758%、ドイツ76.7097%、フランス71.5347%が間に入ります。
一方、小学校に通えていない子の割合は日本0.0684%で、韓国0.0557%に次ぐ低さです。英国0.0698%はごく近く、フランス0.2044%、ドイツ0.2739%が続き、アメリカ3.9822%、中国6.6763%とは差があります。児童生徒対教員比は日本15.6610人で、ドイツ12.3028人、アメリカ14.1986人、英国15.1327人より多く、韓国16.2867人、中国16.4267人、フランス18.1766人より少ない中間の位置です。
(出典: 世界銀行 World Development Indicators — Government expenditure on education, total (% of GDP) / School enrollment, tertiary (% gross) / Children out of school (% of primary school age) / Pupil-teacher ratio, primary)
この数字の読み方
教育費(対GDP比)が対象とするのは政府支出のみで、家計が負担する授業料・学習塾・習い事などの私費支出は含まれません。したがって順位の低さをそのまま教育への投入総額や教育の質の評価に読み替えることはできません。上位のキリバス16.3905%やツバル12.8457%についても、分母である経済規模が小さいほど比率は高く出やすいため、値の大きさだけで判断はできません。
就学率は総就学率(gross)で、標準年齢を外れた在籍者も分子に入るため100%を超えることがあります。日本の中等教育101.5371%やギリシャの高等教育165.1134%はこの定義によるもので、全員が就学しているという意味でも定員超過という意味でもありません。
観測年は指標ごとに異なります。教育費は2021年、就学率と不就学率は2023年、児童生徒対教員比は2017年が最後の年で、5指標を同一時点の断面として比べることはできません。数値はいずれも世界銀行WDI経由の各国報告値で、国により定義や欠測の扱いが違うため、1〜2位の差は誤差の範囲と見るのが妥当です。更新は年1回程度で、過去の値が遡って改定されることもあります。公的支出の低さと就学率の高さは並存する事実として示したもので、両者を結びつけた因果的な説明はここでは行いません。
(出典: 世界銀行 World Development Indicators — Government expenditure on education, total (% of GDP) / School enrollment, secondary, tertiary (% gross) / Children out of school (% of primary school age) / Pupil-teacher ratio, primary)
教育費(対GDP比)を地図とグラフで見る
上位はキリバス16.3905%、米領サモア14.7170%など経済規模の小さい国が並び、下位はソマリア0.0000%、ナイジェリア0.3191%です。日本3.3366%は中位より下に位置します。
推移は2010年3.5995%から2018年3.0778%へ下がり、2021年3.3366%まで戻りましたが2010年の水準は下回ったままです。上位と下位の幅は16ポイント以上あります。
国を選んでくらべる
小学校に通えていない子の割合
上位は0.1%未満の国が並び、下位はソマリア85.2728%、アフガニスタン68.7716%、赤道ギニア65.5965%です。日本は英国0.0698%とほぼ並ぶ最上位側にいます。
推移は2014年0.0842%から2023年0.0684%へわずかに下がっています(2013年1.1430%は翌年と乖離が大きく比較には用いません)。上位側は差が小さく、下位との開きが極端です。
高等教育就学率
上位はギリシャ165.1134%、マカオ141.8648%、キプロス120.8773%、下位はハイチ1.0514%、仏領ポリネシア1.4568%です。日本は上位から60番目の位置です。
推移は2013年62.6423%から2021年62.0412%へ微減した後、2023年64.4908%へ上がりました。上位と下位で100ポイント以上の開きがあります。
中等教育就学率
上位はモナコ158.5466%、ベルギー142.9603%、フィンランド142.3952%、下位はソマリア3.3479%、中央アフリカ共和国15.8074%です。日本は上位から57番目です。
推移は2013年101.0494%から2023年101.5371%とほぼ横ばいで、大きな増減はありません。国ごとの幅は3%台から158%台まで広がっています。
児童生徒対教員比
上位(少ない側)はサンマリノ6.9306人、リヒテンシュタイン7.8016人、下位は中央アフリカ共和国83.4120人、ルワンダ59.5086人です。日本は上位から74番目です。
推移は2013年16.7319人から2017年15.6610人まで5年分のみで、10年の変化としては扱えません。上位と下位では10倍以上の差があります。