教育と子どもの世界統計
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「スマホ依存率」という数字はどこから来るのか――利用状況調査で分かること・分からないこと

教育と子どもについて、世界の統計を定点観測する

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「依存率」という指標は、そのままの形では統計に載っていない

子どものスマホ利用を心配する声は、多くの国で共通しています。そこで求められがちなのが「依存率」という一つの数字です。ところが、公的な調査の中身をたどっていくと、「依存している子どもの割合」という項目が単独で用意されていることは、まずありません。

日本のこども家庭庁が公開している青少年のインターネット利用に関する一連の統計表を見ても、集計されているのは「利用しているかどうか」「何に使っているか」「どのくらいの時間使っているか」「機器をどう手に入れたか」「保護者は何をしているか」といった、行動と環境の記述です。依存という状態そのものを判定した数字ではありません。

つまり、世の中で語られる「依存率」の多くは、これらの利用状況の指標を誰かが解釈し直したものか、別の尺度を使った調査の結果です。記事や会話で数字に出会ったとき、まず確かめるべきは「その数字は、何を測った結果なのか」という一点です。

質問項目ごとに、読み取れる範囲は違う

同じ「ネット利用状況」という枠の中でも、設問が違えば分かることも変わります。

調査項目の種類主に分かることそこからは分からないこと
ネット利用状況(利用の有無)利用している子どもの広がり使い方の中身、生活への影響
ネット利用項目動画・交流・学習など用途の内訳どの用途が負担になっているか
ネット利用時間使用時間の分布長時間=依存かどうかの判断
機器の購入手段端末が子どもの手に渡る経路渡した後の使われ方
保護者としての取組家庭側の関与のかたちその取組が効いたかどうか
フィルタリング等利用率制限機能が使われている度合い制限をすり抜けた利用の実態
無線LAN利用状況家庭内など接続環境の状況端末ごとの利用実態
管理手段の認知経緯保護者が情報をどこで得たか情報が行動に結びついたか

この一覧から見えてくるのは、利用時間の統計が「依存」の代理指標として使われやすい一方で、時間の長さだけでは生活の支障や本人の困りごとを説明できない、という点です。学習や連絡のための長時間利用と、生活リズムが崩れるほどの利用は、時間の集計上は区別されません。

読むときに確かめたい三つの点

第一に、対象年齢の範囲です。青少年を対象とする調査でも、区切り方は調査ごとに異なります。年齢層が違えば利用率も使い方も変わるため、範囲を確かめずに数字を比べると差が誇張されます。

第二に、誰が答えているかです。子ども本人への調査と、保護者への調査では、同じ「使用時間」でも見え方が変わります。保護者調査では、目の届かない時間帯の利用が過小に出る可能性があります。

第三に、調査対象期間です。今回参照した統計表には、いずれも対象となる期間が明示されています。端末や利用サービスの状況は変わりやすいため、いつ集められたデータかを外して「現在の姿」として語ることは避けたいところです。

数字の前に、問いを整える

「依存率」を求める気持ちの背景には、たいてい「子どもの生活が守られているか」という関心があります。その関心に応えるには、一つの割合よりも、用途・時間・端末の入手経路・家庭や学校の関与といった複数の指標を並べて読むほうが有効です。制度や法律の仕組みは国ごとに異なりますが、「何を測った数字なのかを確かめる」という手順は、どの国の統計にも共通して使えます。

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