「子どもの貧困率」は何を示すのか
子どもの貧困率は、子どもの暮らしを一つの数字で表す指標です。2022年(令和4年)の日本では、子どもの貧困率は10.9%でした。これは、子どもの相対的貧困の状況を示す割合です。
ここで大切なのは、この数値を「子どもの生活が一律に苦しい」と読むのではなく、世帯の状況によって貧困のリスクが異なることを踏まえて読むことです。子どもがいる世帯をまとめて見るだけでは、どのような家庭に困難が集中しているのかは分かりにくくなります。
世帯全体の数字と、世帯類型ごとの違い
2022年(令和4年)、子どもがいる現役世帯の貧困率は10.3%でした。子どもの貧困率10.9%と近い水準に見えますが、世帯の大人の人数で分けると、状況は大きく異なります。
| 2022年(令和4年)の区分 | 貧困率 |
| 子ども | 10.9% |
| 子どもがいる現役世帯 | 10.3% |
| 子どもがいる現役世帯で大人が一人 | 54.5% |
| 子どもがいる現役世帯で大人が二人以上 | 9.6% |
子どもがいる現役世帯で大人が二人以上の世帯では、貧困率は9.6%でした。一方、大人が一人の世帯では54.5%です。この差は、子どもの貧困を考える際に、世帯全体の平均だけでは見えない層があることを示しています。
「働いている世帯」でも困難は残る
「現役世帯」という区分が含まれていることも、数字を読むうえで重要です。子どもの貧困は、働いているかどうかだけで決まる問題ではありません。世帯を支える大人の人数、収入を得る役割を担える人の数、子育てと仕事を両立する条件など、複数の要素が重なって生活の余裕に影響します。
そのため、対策を考えるときには、子どもがいる世帯全体を対象にする視点と、特に困難が大きい世帯に焦点を当てる視点の両方が必要になります。全体の貧困率を下げることだけを目標にすると、世帯類型による大きな違いを見落とす可能性があります。
数字の差を、子どもの経験につなげて考える
統計の数字は、個々の子どもがどのような生活を送っているかを直接説明するものではありません。しかし、世帯の大人の人数によって貧困率に大きな差があるという結果は、子どもの学びや生活を支える仕組みを考える際の手がかりになります。
同じ「子どもがいる世帯」でも、必要な支援は同じとは限りません。世帯を一括りにせず、家庭の構成や支える人の状況を踏まえて統計を見ることが、子どもの貧困を具体的に理解する出発点になります。
2022年(令和4年)の数値から見えるのは、子どもの貧困が社会全体の平均として存在するだけでなく、特定の世帯類型により強く表れているということです。子どもの状況を考えるときは、全体の割合と、内訳に表れる差を併せて確認する必要があります。
出典
- 厚生労働省「国民生活基礎調査」貧困率-中央値-貧困線、年次・全世帯-子ども-子どもがいる現役世帯別(2022年(令和4年))
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0002042989