教育と子どもの世界統計
日本語

不登校児童生徒数を「段階の違い」から読む――小学校と中学校の統計が示す支援のつなぎ方

教育と子どもについて、世界の統計を定点観測する

トップ読みもの

人数の大きさだけでは見えない違い

不登校児童生徒数を読むとき、全体の多さだけに注目すると、子どもがどの教育段階にいるのかという重要な違いを見落としやすくなります。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、2020年3月2日調査の小学校の不登校児童生徒数は35,032人、中学校は108,999人でした。

この二つの数字は、単純な合計として扱うだけでなく、教育段階ごとに状況を分けて見る必要があることを示しています。小学校と中学校では、在籍する子どもの年齢、学校生活の仕組み、学習内容、人間関係の広がりなどが異なります。そのため、不登校という同じ項目であっても、背景や必要な支援が一つの型に収まるとは限りません。

教育段階不登校児童生徒数調査時期
小学校35,032人2020年3月2日調査
中学校108,999人2020年3月2日調査

「学校に戻るか」だけを尺度にしない

不登校の統計を使う際に注意したいのは、人数が多いこと自体を、子どもや家庭の問題として説明しないことです。統計は、学校に在籍する子どもたちのうち、調査上の不登校として把握された人数を示すものです。一方で、その数字だけから、個々の子どもが何を感じているのか、どのような経緯で登校が難しくなったのかまで読み取ることはできません。

したがって、人数の増減や教育段階の差を論じるときには、学校へ戻ったかどうかだけを成果の基準にしない視点が必要です。学習とのつながりを保つこと、相談できる場を確保すること、家庭と学校の連絡を途切れさせないことなど、子どもの状況に応じた複数の関わりを考える余地があります。これらは、特定の国の制度だけに依存せず、子どもの教育への参加をどう支えるかという、幅広い地域に共通する課題です。

地域別の数字は「順位」より支援の配置を考える材料

資料には、都道府県別だけでなく、指定都市別の不登校児童生徒数も示されています。2020年3月2日調査における2017年度の指定都市計は30,631人で、横浜市は4,559人でした。

地域別の数値は、単純に地域を順位づけするためだけのものではありません。人口規模や学校数などを考慮しなければ、人数の多さだけで地域の状況を比較することは難しいからです。むしろ、どの地域で相談や学習支援の窓口が必要とされているのか、学校外の学びと学校との連絡をどう保つのかを検討する際の出発点として読むことができます。

また、指定都市計の数字と一つの都市の数字は、集計の範囲が異なります。全国、地域全体、個別の自治体を同じ尺度で並べるのではなく、それぞれが何を数えているのかを確認することが大切です。

次に見るべきなのは「継続」と「支援の結果」

不登校児童生徒数の表だけでは、同じ子どもが前年度から継続しているのか、その年度に新たに把握されたのかは分かりません。資料には、不登校の状態が前年度から継続している児童生徒数や、不登校児童生徒への指導結果状況に関する表もあります。

このような関連資料を組み合わせると、人数の規模だけでなく、状態の継続、支援との接点、学校内外の機関との関わりといった複数の側面から状況を考えられます。重要なのは、一つの数字に子どもの経験全体を代表させないことです。小学校から中学校へ進む時期を含め、教育段階の境目で情報や支援が途切れないかを確かめることが、統計を実際の支援につなげるうえでの課題になります。

出典

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003408984

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003408982

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003408997

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003408994

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003408990