利用者数を知りたいとき、最初に確認すること
放課後児童クラブは、子どもが放課後や学校休業中に過ごす場所として、多くの家庭や地域に関わる制度です。利用者数の推移を読むときには、人数が増えたのか、受け入れの場が広がったのか、地域の必要性が変わったのかを考える必要があります。
しかし、今回確認できた資料には、放課後児童クラブの利用者数そのものは掲載されていません。資料が示しているのは、「児童福祉実施組合数」です。これは、児童福祉に関わる事業を実施した組合の数であり、放課後児童クラブを利用した子どもの人数とは別の指標です。
この違いを確かめずに数字だけを見てしまうと、制度を運営する組織の変化を、子どもの利用者数の変化と誤って解釈する可能性があります。利用者数を扱う記事では、まず「何を数えている統計なのか」を明確にすることが欠かせません。
確認できた数字が示すもの
確認できた数値を整理すると、児童福祉実施組合数は、2015年度の二十二組合から、2016年度には三十七組合へ増えています。その後、2017年度は四十五組合、2018年度は四十三組合でした。
| 年度 | 児童福祉実施組合数 |
| 2015年度 | 22組合 |
| 2016年度 | 37組合 |
| 2017年度 | 45組合 |
| 2018年度 | 43組合 |
この表から読み取れるのは、対象となる組合数が年度によって変動していることです。2015年度から2017年度にかけては増加し、2018年度には減少しています。ただし、この動きだけから、放課後児童クラブを利用する子どもが増えた、あるいは減ったとは判断できません。
組合数と利用者数では、単位が異なります。ひとつの組合が多くの子どもを支えている場合もあれば、複数の組合がそれぞれ異なる地域やサービスを担っている場合もあります。したがって、組合数の増減は、利用者数の増減を直接表すものではありません。
指標の違いが見え方を変える
教育や子どもに関する統計では、似た言葉が並んでいても、数えている対象が異なることがあります。施設数、運営主体数、事業実施組合数、登録児童数、実際の利用児童数は、それぞれ別の情報です。
たとえば、運営する組合の数が変わらなくても、ひとつの組合が受け入れる人数を増やせば、利用者数は変化します。反対に、組合数が増えても、一組合あたりの規模が小さければ、利用者数の変化は限定的かもしれません。さらに、登録している子どもの人数と、特定の日に実際に利用した子どもの人数も一致するとは限りません。
このため、放課後児童クラブの利用者数の推移を知るには、利用者数を直接集計した資料を使う必要があります。今回の資料は、関連する児童福祉の実施状況を考える手がかりにはなりますが、利用者数の代替指標として扱うことはできません。
読者が統計を見るときの視点
利用者数の推移を読む際には、次の点を確認すると、数字の意味を取り違えにくくなります。
- 何を単位にしているか。子どもの人数なのか、組合や施設の数なのか。
- 調査の対象が全国全体なのか、特定の事業者や地域なのか。
- 年度ごとの定義や集計方法が同じなのか。
- 登録者数、利用者数、受け入れ可能な人数が区別されているか。
- 増減が、子どものニーズの変化を示すのか、運営体制の変化を示すのか。
統計は、数字が大きいか小さいかだけでなく、どのような仕組みを通じて集められたかによって意味が変わります。放課後の居場所をめぐる状況を考えるには、利用する子どもの人数と、支える組織や施設の状況を分けて見ることが重要です。
今回確認できた資料から言えるのは、児童福祉実施組合数が2015年度から2018年度にかけて変動したということです。放課後児童クラブ利用者数の推移を示すには、別途、利用者を直接対象にした統計が必要です。数字を見つけたとき、その数字が何を表しているのかを確かめることが、子どもの生活に関わるデータを読む出発点になります。
出典
- 消費生活協同組合(連合会)実態調査(厚生労働省)
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003361630
- 児童福祉事業実施組合数(都道府県、サービス別)(厚生労働省)
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003361633