教育と子どもの世界統計
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高等教育への進学をどう読むか――「在籍」と男女差を示す統計の使い分け

教育と子どもについて、世界の統計を定点観測する

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高等教育の広がりを測る指標

高等教育へのアクセスを考えるとき、大学などにどれほど学生が在籍しているかは重要な手がかりになります。世界銀行の「School enrollment, tertiary (% gross)」は、高等教育段階の就学状況を、国や地域の規模をまたいで比較するための統計です。

この指標が示すのは、若者の進学希望そのものでも、卒業できた人の割合でもありません。高等教育機関に在籍している人数を、進学年齢に相当する人口との関係で捉えるものです。そのため、標準的な年齢より早く進学した人、遅れて進学した人、成人になってから学び直す人なども含まれ得ます。

したがって、数値が高いからといって、すべての学生が順調に学業を続けているとは限りません。反対に、数値が低い場合も、教育への関心が低いと直ちに判断することはできません。入学制度、職業教育の位置づけ、家計の負担、地域間の移動、紛争や災害など、さまざまな事情が在籍状況に影響するためです。

男女別の統計が見せるもの

同じ高等教育の就学状況でも、男女を分けて見ることで、全体の指標だけでは分からない違いが見えてきます。世界銀行には、男性の就学状況を示す統計と、女性の就学状況を示す統計があります。

男女別の指標は、どちらの性別の学生が多いかを単純に競わせるためのものではありません。教育機会が誰に開かれているのか、進学後の選択肢がどのように分かれているのかを考える入口です。都市と地方、所得層、専攻分野、昼間課程と夜間課程などを区別しなければ、国内の格差が平均の中に隠れる可能性もあります。

男女差を一つの比率で読む

男女の高等教育への参加状況を比較するため、世界銀行は「gender parity index」、つまり男女平等指数も掲載しています。この指標は、女性の就学状況と男性の就学状況の関係を、一つの比率として表すものです。

ただし、この比率は高等教育の質、卒業率、就職状況、学んでいる分野の違いまでは示しません。男女の在籍状況が近く見えても、専攻の集中や中途退学、卒業後の機会に差が残っていることはあり得ます。逆に、女性の在籍が男性を上回っている場合も、それだけで社会全体の男女平等が実現したと結論づけることはできません。

統計主に分かること単独では分かりにくいこと
高等教育の総就学状況高等教育への在籍の広がり学習の質や卒業の状況
男性の高等教育就学状況男性の在籍の動き女性との比較
女性の高等教育就学状況女性の在籍の動き家庭内外の負担や進路の背景
男女平等指数男女の就学状況の関係専攻、地域、所得による差

アラビア語圏で比較するときの注意

中東・北アフリカの国々を比較する場合、国全体の指標だけで優劣を決める読み方には注意が必要です。高等教育の制度は国ごとに異なり、大学、短期高等教育、職業教育などの区分も同じとは限りません。統計に含まれる機関の範囲や、報告が行われる時期にも違いがあり得ます。

また、近年の値だけを比べるのではなく、同じ統計の中で各国の推移を確認することが大切です。ある時点の差は、制度の変更、人口構成、学生の国外流出入、統計報告の改善などによって生じることがあります。数字を教育政策の成果として解釈する前に、何を分母とし、誰を在籍者として数え、どの教育機関を対象にしているのかを確かめる必要があります。

高等教育の就学統計は、若者が学びへ進む道の広がりを考えるための地図です。しかし、地図だけで旅の安全や目的地の到達状況までは分かりません。就学、継続、卒業、就職、学び直しをつなげて見ることで、各国の教育へのアクセスをより立体的に理解できます。

出典

https://data.worldbank.org/indicator/SE.TER.ENRR

https://data.worldbank.org/indicator/SE.ENR.TERT.FM.ZS

https://data.worldbank.org/indicator/SE.TER.ENRR.MA

https://data.worldbank.org/indicator/SE.TER.ENRR.FE